前回は、2026年の夏至前後が「火が三重に重なる」特殊な時期であること、そして冷えのぼせ・寒熱往来・動悸などが起こりやすいことをお伝えしました。
今回は、そのような年の夏をどう乗り越えるか。日常生活でできる具体的な対応策をご紹介します。
今年の夏の体の状態を理解する
まず、今年の夏至前後に起きやすい体の状態を整理しましょう。
東洋医学では、この時期の体を**「上実下虚・厥逆(じょうじつかきょ・けつぎゃく)」**と表現します。
- 上半身:君火・相火が重なり、熱がこもりやすい
- 下半身:水運太過の影響で、冷えたまま
- 結果:熱が上に集まり、下が冷えるという不均衡な状態
この不均衡が、のぼせ・動悸・冷えのぼせ・寒熱往来といった不調として現れます。
対策の基本はシンプルです。「上の熱を下ろし、下の冷えを温める」。これだけです。
日常生活での対策
体温調節を怠らない
「もう夏だから」と油断するのが一番危険です。
- 薄着になりすぎず、一枚羽織れるものを常に携帯
- 朝晩の冷え込みに備え、首・手首・足首の「三首」を冷やさない
- 冷房の効いた室内では特に下半身の冷えに注意
カーディガンや薄手のストールがあると重宝します。冷房の風が直接あたる場所では、膝掛けを使うのもよいでしょう。
入浴
シャワーだけで済ませてしまいがちな季節ですが、今年の夏は特に湯船に浸かることが大切です。
- **ぬるめのお湯(38〜40℃)**にゆっくり浸かる
- 下半身浴も効果的――上半身の熱を冷ましつつ、下半身だけを温めるため、上実下虚の状態にぴったり合います
熱いお湯に短時間ざっと入るのではなく、ぬるめでじっくり、が今年の基本です。
食事・飲み物の選び方
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 上半身がほてる・のぼせる | 苦味のもの(ゴーヤ・緑茶・レタス)で熱を冷ます |
| 下半身が冷える | 温性のもの(生姜・ネギ・黒豆・根菜類)で温める |
| 寒熱往来のとき | 刺激物・冷たい飲食物の過剰摂取を避ける |
| 全般 | 塩味で温性のものを適度に |
冷たいものを一気に飲む・食べるのは、寒邪を体の中に招き入れ、消化器を傷めやすくなるため控えめに。夏こそ常温の飲み物を意識してみてください。

おすすめのツボ三選
湧泉(ゆうせん)
場所:足裏の中央やや上、足の指を曲げたときにできるくぼみ
効果:上にこもった熱を足元へ引き降ろす。のぼせ・動悸・不眠に。
就寝前に湯たんぽや足湯で温めながら親指で押すと、熱が足元に降りて眠りやすくなります。夏至前後に特に有効なツボです。
三陰交(さんいんこう)
場所:うちくるぶしの上、指4本分のところ
効果:上下の気の交通を整える。冷えのぼせ・むくみ・疲労に幅広く使えます。
神門(しんもん)
場所:手首のしわの小指側
効果:心の熱を落ち着かせ、動悸・不安・寝つきの悪さを和らげる。

今年の夏の心がけ・まとめ
① 急に薄着にしない(特に朝晩)
② 下半身は温め、上半身は熱をこもらせない
③ 冷たい飲食物で一気に冷やさない
④ 湧泉・三陰交へのお灸や指圧で上下の気を整える
⑤ 無理な運動・夜更かしを避ける(火の気をあおるため)
寒暖差が激しい時期は**「急がず・冷やさず・温めすぎず」**のバランスが養生の鍵です。
おわりに
「上を冷まして下を温める」という方向性は、ツボも食事も入浴も、すべてに共通しています。今年の夏は、この一点を意識して過ごすだけで、体の感覚がずいぶん変わってくるはずです。
次回は、その「下を温める」養生の中でも特におすすめの足湯について。貝原益軒の『養生訓』にも記された「足心(湧泉)」の教えとともに、薄荷や松葉を使った足湯の実践法をご紹介します。
次回:【2026年 夏至の養生③】貝原益軒も伝えた「足心」の養生――薄荷・松葉・生姜の足湯レシピ


