第2回 五季節の変わり目 「土用」の過ごし方


季節の変わり目「土用」の過ごし方

〜天地の気と響き合うカラダへ〜

こんにちは。 桜の季節も過ぎ、新しい出会いや新天地での活動など、変化の多い時期でしたね。 ゴールデンウィークを前に、気分がウキウキされている方も多いのではないでしょうか。

実は今日から、暦の上では「土用(どよう)」という時期にあたります。

2026年の春の土用期間は、4月17日(金)から5月4日(月・祝)まで。

「土用=うなぎ(夏の土用)」というイメージが強いかもしれませんが、実は立夏・立秋・立冬・立春の前の約18日間、つまり「季節の変わり目」はすべて土用なのです。


■ 「土の神様」が宿る時期

古くから、土用の期間は「土公神(どくじん)」という土を司る神様が地中にいらっしゃるため、土を掘り返したり動かしたりしてはいけない、と言い伝えられてきました。

これは単なる迷信ではありません。 「自然界が次の季節へと移り変わる不安定な時期だから、人間もあちこち動き回らず、静かに過ごして変化に順応しましょう」という先人の知恵でもあります。


■ 「場」を整え、体調を守る

東洋医学では、自然界のあらゆる変化を「五行(木・火・土・金・水)」というエネルギーで捉えます。 その中でも、すべての土台を支え、季節をスムーズに入れ替える役割を担うのが「土」のエネルギー。いわば「場の転換」を司る力です。

また、「土」のエネルギーは、生命を生み育て、包み込むような「母性」の力を持っていると考えられています。

私たち人間も、大地という「場」があるからこそ、そこで育つ作物をいただき、太陽や雨の恵みを体に受けて生きることができます。 私たちの体そのものも、一つの大切な「場」なのです。

しかし、季節の変わり目である土用は、この大切なエネルギーが大きく入れ替わり、乱れやすい時期でもあります。 天地の気が不安定になると、その影響を受けて私たちの体もバランスを崩しやすくなります。 だからこそ、この時期はいつも以上に「自分の体を整えること」が重要になるのです。


■ 場の転換は「手足の関節」と「お腹」で整える

東洋医学において、「土」のエネルギーは私たちの体の中では「お腹(胃腸)」、さらには「手足の関節」と深く関係していると考えます。 季節が切り替わる「場」の乱れは、実は私たちの体にもはっきりとサインを出してくれます。

  • お腹の変化 「土」のエネルギーを司るお腹は、いわば体内のエネルギー製造工場であり、体の中央に位置しています。 土用の時期にここが乱れると、食欲不振や胃もたれ、あるいは逆に異常に甘いものが欲しくなるといった症状が出やすくなります。
  • 手足首の違和感 手首や足首などの「節々」も、エネルギーの転換点です。 土用の時期に「なんだか関節が重だるい」「足首が冷える」「スムーズに動かない」と感じるなら、それは季節の変化に体が一生懸命適応しようとしている証拠かもしれません。

「場」の転換期である今、この「お腹」と「手足首」を労わってあげることで、次の季節を健やかに迎えるための補助をしてあげてください。

● 鍵を握るのは、手首・足首にある「原穴(げんけつ)」

実は、手首や足首の関節周りには、「原穴」と呼ばれる非常に重要なツボが集中しています。 原穴とは、各臓腑のエネルギーの源流であり、いわば自分の内側と天地(自然界)のエネルギーを繋ぐ「呼吸する窓口」のような場所です。

東洋医学では、人は天地の気を受けて生かされていると考えます。 季節の変わり目である土用に、この窓口(手足首の原穴)が硬く閉じたり冷えたりしていると、天地のエネルギーをうまく体内に取り込めず、スムーズな「場の転換」ができなくなってしまいます。

  • 手首の原穴が整うと: 天の気を受け取り、精神やリズムが安定します。
  • 足首の原穴が整うと: 地の気と繋がり、体の土台や軸がどっしりと落ち着きます。

お腹を温めるのと同時に、手足首を優しくさすったり、ゆっくりと回して「原穴の呼吸」を助けてあげてください。 閉じていた窓口が開き、天地の気と再び繋がることで、あなたの体という「場」は次の季節へ向けて健やかに動き出します。


■ 【要注意】「甘いもの」が不調に拍車をかける?

土用の時期、特に気をつけたいのが「白砂糖」の摂りすぎです。

  • 血管への負担 砂糖に含まれる成分は、血液中の中性脂肪を増やし、心筋梗塞などのリスクを高める原因になります。
  • 慢性的な疲れ 糖分を分解するためにビタミンB1が大量に消費されるため、かえって体が疲れやすくなったり、食欲が落ちたりします。
  • アレルギーの悪化 白砂糖は体内で分解される過程で「ヒスタミン」を出しやすくするため、アトピーやじんましんなど、かゆみの症状が強く出やすくなります。

「疲れたから甘いもの」という習慣が、不安定な土用の体をさらに疲れさせているかもしれません。

「マワリテメグル小宇宙」 岡部賢二 著    P55「陰陽コラム」 参照


■ 土用の時期こそ、心と体をフラットに

土用は、次の季節へ向かうための大切な準備期間です。 土を荒らさず静かに見守るように、私たちも暴飲暴食を控え、ゆったりとした気持ちで「場(体)」を整えてあげましょう。

気になる不調がある方は、無理をせずお早めにご相談くださいね。

鍼灸治療の良さは、乱れてしまった「場」のリズムを本来の健やかな状態へ戻し、 天地の気と再び共鳴・響動できるカラダとなるように整えられることにあります。

土用の不安定な時期だからこそ、心と体を一度リセットして、新しい季節を軽やかに迎える準備を一緒にしていきましょう。

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