東洋医学の学びは、
古典を紐解くことから始まります。
しかし、その思想は決して遠い過去のものではありません。
私たちの暮らしの中に今も息づく「自然の法則」そのものです。
「陰陽五行」という考え方は、単なる医学理論ではありません。

季節の移ろい、身体の働き、日々の食事、そして心の在り方……。
それらすべてを一つの大きな「循環」として捉える、深遠な人生の智慧なのです。
この広大で奥深い世界観を、現代の言葉で分かりやすく解き明かしてくれる一冊があります。
岡部賢二氏の著書『マワリテメクル小宇宙 ― 暮らしに活かす陰陽五行』です。
著者の岡部氏は、日本伝統食の価値を再発見し、長年マクロビオティックを通じた食養生を提唱されてきました。本書では、五行の循環が身体や季節とどう関わっているのかが丁寧に描かれています。
特に各章の合間にある「陰陽コラム」は、身近な不調や人間関係を例に引き、私たちの日常と宇宙の法則がいかにつながっているかを鮮やかに示してくれます。
さらに、20年ぶりの続編となる第2弾『マワリテメクル小宇宙Ⅱ ― 暮らしに活かすカタカムナ』では、日本古来の叡智「カタカムナ」の視点が加わりました。ここでいう「カタカムナ」とは、数万年以上前の日本に存在したとされる高度な文明の知恵であり、万物の根源であるエネルギー(潜象(せんぞう)世界)の仕組みを説いたものです。

現代の言葉でいえば「電気物理学」のような側面を持ち、目に見える物質の世界を、目に見えないエネルギーの動きから読み解いていきます。「カタカムナ」の世界を知ることで、目に見えないつながりや、静かな安心感、そして調和を大切にする優しさを取り戻し、心と体のバランスを保ち、「陰陽調和」のとれた生命本来のイキイキとしたリズムを取り戻していくことができるようになります。
これこそが、東洋医学が目指している「調和」への回帰であり、そのバランスを整える「架け橋」になることこそが、鍼灸師の真の役割ではないかと私は考えています。難解に思われがちな理論も、本来は「人間という小宇宙」を観察する、とてもシンプルで優しい智慧です。このブログでは、本書や古典の知恵を引用しながら、陰陽五行の思想をいかに臨床や日々の養生に活かしていくか、皆さんと共に読み解いていきたいと思います。
古典の言葉と現代の智慧を結び、人体という「小宇宙」の巡りを感じる。
そんな学びの旅を、ここから始めていきましょう。


