水の不思議 第1回 梨のしずくは「甘露水」だった?

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はじめに

前回は梨を特集しました。みずみずしい果肉から滴る水分の美味しさは、多くの方が実感されたことと思います。実はこの梨の水、古くから「甘露水(かんろすい)」になぞらえて語られてきたことをご存じでしょうか。

今回から全5回にわたり、「水の不思議」というテーマでブログをお届けします。梨の記事からつながる番外編として、まずは「甘露水とは何か」という入り口からお話ししていきましょう。

そもそも「甘露水」とは

甘露水は、中国の代表的な本草書である明代の『本草綱目』や『本草品彙精要』に登場する、伝説上の水です。これらの書物では、水を「天水類(てんすいるい)」「地水類」などに分類しており、甘露水は露や雨、雪などとともに、天から降る自然の恵みとして位置づけられています。

『本草綱目』での記述をひもとくと、次のような特徴が挙げられています。

  • 別名:膏露(こうろ)、瑞露(ずいろ)、天酒、神漿(しんしょう)とも呼ばれる
  • 性質:味は甘く、性質は「大寒」(非常に冷たい性質)、無毒
  • 効能:服用すると五臓を潤し、長寿をもたらし、空腹を感じさせないとされ、まさに仙人の霊薬のような扱いを受けている

面白いのは、この甘露水が単なる自然現象としてではなく、「徳の高い君主が政治を行うと松や柏(ヒノキ科の木)に降りる」というように、道徳や徳と結びつけて語られている点です。良い政治が行われると天が応えて甘露を降らせる——そんな壮大なスケールの発想が、古代中国の自然観にはありました。

梨の水とのつながり

梨は古来、喉の渇きを潤し、体に潤いを与える果物として親しまれてきました。その豊富な水分が、まるで天から降る甘露水のように「潤いの象徴」として重ねられてきたのも、うなずける話です。

もちろん、梨のしずくそのものが甘露水というわけではありません。しかし「自然が与えてくれる潤いの水」という共通のイメージの中で、梨と甘露水は昔から結びつけて語られてきました。この感覚は、現代の私たちが「みずみずしい果物を食べると生き返るような気がする」と感じる感覚とも、どこかつながっているのではないでしょうか。

次回予告

第2回では、この甘露水についてさらに深掘りし、『本草綱目』の原文が伝える甘露のイメージや、仏教における「甘露」という言葉の使われ方について詳しくご紹介します。

水にまつわる物語は、実はとても奥深いものです。次回もどうぞお楽しみに。

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