シリーズ:三伏天 養生便り 2026 ― 第2回・実践編(前半) 対象期間:初伏 7/20〜7/29 / 中伏 7/30〜8/18
いよいよ三伏天が始まります。この時期は「体の窓が開く」季節です。正しく整えれば大きな恩恵を受けられる一方、無理や不摂生を重ねると体への負担も大きくなります。初伏と中伏、それぞれの特徴を知って、賢く過ごしましょう。
初伏のケア(7/20〜7/29)― 体内の熱を排出し、基盤を作る10日間
初伏は、備伏期で整えた体をいよいよ本格的に動かし始める時期です。陽気が増してくるこの段階では、体内にこもった余分な熱を上手に発散させることがまず必要です。
ウォーキングや軽いストレッチで適度に汗をかき、滞った気血を動かしましょう。ただし、激しい運動は禁物。汗をかきすぎると「津液(しんえき)」と呼ばれる体の潤い成分が失われ、逆に体を消耗させてしまいます。「じわっと汗ばむ程度」が理想の状態です。
初伏の生姜養生
初伏で特に重要なのが「胃を温める」こと。暑いからといって冷たいものばかり摂ると、胃の消化力(中気)が落ちてしまいます。生姜はこの時期の名薬です。
「朝の生姜は金に勝る」
中国の民間伝承に伝わるこの言葉の通り、午前中の生姜摂取は理にかなっています。朝に温かい生姜湯を一杯飲む習慣を取り入れることで、胃を守りながら気の巡りを助けます。薄切りの生姜を湯に浸すだけでも十分な効果が期待できます。
中伏のケア(7/30〜8/18)― 一年でもっとも過酷な20日間
中伏は三伏天の中核であり、最も過酷な時期です。気温・湿度ともに年間最高値を記録する日が多く、体への負担が集中します。
この時期に最も注意すべきは「湿邪(しつじゃ)」——体内に溜まった余分な湿気です。湿邪が溜まると、体が重だるく感じられ、頭がぼんやりし、食欲が落ちてきます。梅雨明け後に感じる「なんとなく体が重い」「やる気が出ない」という感覚の正体が、まさにこれです。
中伏の湿気対策3か条
一、油っこいものを控える 脂質の多い食事は消化に多くの「陽気」を使い、湿を生みやすい。蒸す・茹でる調理法を優先する。
二、冷房の使い方を見直す 設定温度は26度以上を目安に。足元への直接的な冷風は避け、就寝時は腹部を薄手のタオルで覆う習慣を。
三、夜更かしをしない 夜間の不摂生は翌日の胃腸機能を著しく低下させ、湿をさらに呼び込む。22〜23時の就寝を徹底する。
食養生:旬の恵みを活かす
東洋医学の食養生では「身土不二(しんどふじ)」——その土地の旬の食材が体に最も合うという考え方があります。夏の代表的な瓜類は、利尿作用と清熱作用を持ち、湿熱を体外に排出するのに最適です。
| 食材 | 主な効能 |
|---|---|
| スイカ | 清熱・利尿・潤い補給 |
| キュウリ | 清熱・解毒・水分補給 |
| ゴーヤ | 清熱・消炎・胃の熱を冷ます |
| 緑豆 | 清熱解毒・利湿 |
| 赤小豆 | 利水・除湿・むくみ改善 |
| 黒豆 | 補腎・活血・潤い |

緑豆ともやしの養生スープ
緑豆はもやしの原料。スーパーで手に入る緑豆もやしにも同じ清熱・利湿の効能があります。緑豆ともやしを合わせたスープは、夏の体に溜まった熱と湿気を優しく流してくれる、毎日飲みたい養生の一杯です。
2人分 / 調理時間:約40分(浸水時間除く)
材料
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 緑豆(乾燥) | 40g |
| 緑豆もやし | 100g |
| 水(緑豆下茹で用) | 400ml |
| 水(スープ用) | 500ml |
| 生姜(薄切り) | 3枚 |
| 長ねぎ(小口切り) | 1/4本 |
| 鶏がらスープの素 | 小さじ1 |
| 塩 | ひとつまみ |
| 白こしょう | ひとつまみ |
| ごま油 | 小さじ1 |
作り方
1. 緑豆を洗って浸水する 緑豆をさっと洗い、水400mlに2〜3時間浸す。緑豆は小粒なので一晩浸けなくてもOK。急ぐ場合はそのまま茹でても構いません。
2. 緑豆を下茹でする 浸水した緑豆を浸け水ごと鍋に入れ、中火にかける。沸騰したらアクを取り、弱火で20〜25分、指で軽く潰せる柔らかさになるまで茹でる。
3. スープを仕立てる 茹でた緑豆を煮汁ごと別の鍋に移し、水500ml・生姜・鶏がらスープの素を加えて中火にかける。沸いたら弱火にして5分ほど煮て、緑豆の旨みをスープに染み渡らせる。
4. もやしを加えてさっと煮る 緑豆もやしを加え、強火で1〜2分。もやしはシャキッとした食感を残すために煮すぎないのがポイント。火を通しすぎると水っぽくなるので注意。
5. 仕上げる 塩・白こしょうで味をととのえ、長ねぎを散らす。仕上げにごま油をひと垂らしして香りをつけ、すぐに器に盛る。
保存・アレンジのヒント
- 冷蔵保存: もやしを入れる前の状態(緑豆スープのみ)で冷蔵3日保存可。食べる直前にもやしを加えて温めると食感が保てます。
- 緑豆が手に入らない場合: もやしだけでも作れます。その場合は鶏がらスープを少し濃いめにすると旨みが増します。
- 薬膳アレンジ: なつめを1〜2粒一緒に煮ると、気血を補う効果がプラスされ、自然な甘みもつきます。
- 夏の養生として: 冷やしすぎず、常温〜温かい状態でいただくのが理想です。

次回は三伏天の締めくくり、末伏〜収尾の養生と、秋への橋渡しについてお伝えします。
→ 第3回:夏の疲れを残さない!秋への架け橋となる「末伏〜収尾」の養生法


